沖縄で感動したエピソードをいくつかお伝えします。「世界のウチナーンチュ大会」に参加するにあたって、那覇のホテルに電話をしたところ、フロントの女性の対応がとても親切丁寧で、本来の彼女の仕事ではないことまでご好意で調べてくださいました。また、タクシーがなかなかつかまらずに困っていた時に、フロントの女性が雨の中、道路まで出てタクシーを捕まえてくださり、そこまでしてくださった彼女のホスピタリティに感激しました。もうひとつ、今回手違いがあって、ドイツ沖縄県人会はパレードの参加申し込みに間に合わず、「国旗とプラカードは自前で用意してください」と伝えられていたのですが、当日、行ってみるとどちらもちゃんと用意されていてビックリ。お気を使って、無理して仕上げてくださったのだと思います。そして、パレードの時に「Germany」のプラカードを持って、背筋をしゃんと伸ばして5kmもの道を一緒に歩いてくれた二人の女の子。後から写真を見て、あの距離をあの姿勢で黙々と歩いてくれていたことに気がついて、現場でねぎらいの言葉をかけてあげなかったことを猛烈に悔やみました。心から「ありがとう。おつかれさま」と伝えたいです。
パレードの時に、あれほどたくさんの人が沿道に集まってくださったことに驚き、大感激しました。いろいろな方に温かい声をかけていただき、琉装やエイサーや三線で迎えてくれた方々、「おかえり」と書いた手紙を折り紙と一緒に手渡してくれた女の子など、みんなが自分のできる「おもてなし」を精一杯提供してくださったことは、私たちゲストの心に染み入りました。私たちはただ歓喜に溢れていただけでしたが、その裏で、沖縄の人たち一人ひとりのボランティア精神があの場を支え、盛り上げてくださったことに、今さらながら感謝しています。
ドイツでは「100%のおもてなし」が「完璧なおもてなし」とされます。対して、沖縄のおもてなしは、100%から始まります。つまり、100%は「やって当たり前」で、そこから先は個人のサービス精神によって120%にも130%にもなり得る。おもてなしが無限大に広がります。これは、「美」についても同じかもしれません。ドイツの「美」は、100%を持って完璧な「美」と言いますが、日本ではわざと90%に仕上げて、残りの10%を相手の想像力を膨らませることによって100%に仕上げます。ただし、この残りの10%は決して10%ではなく、20%にも30%にもなり得る。つまり、完璧というのは100%ではないことを証明しています。例えば、先ほどのパレードでの国旗とプラカードの話。ドイツでしたら、自分たちで用意したもので参加することになったと思います。ドイツのおもてなしが悪いということではなくて、それが「100%できること」をやってくださったということです。ところが沖縄では、そこからさらに「自分たちにできる可能性の中での最大のサービス」という100%を超えるおもてなしが始まったということです。
私は、沖縄の歴史や文化、習慣、言語、音楽、芸能に興味がありますので、これらの話が聞ける機会やイベント情報などが得られると嬉しいです。
沖縄に来ると毎回新しい出会いがあり、毎回新しい知識を得て、毎回新しい発見があります。沖縄は知れば知るほど、熱く面白いです。これからもずっと沖縄に携わった生活をして、沖縄を世界にもっと拡めたいと思っています。コロナ禍で海外からの旅行客が日本に入国できず、私の周りのドイツ人たちが訪日の機会を失っておりましたが、ようやく規制が解除され、多くのドイツ人たちがこれから続々と来日、来沖することと思います。今後も何らかの形で、沖縄に貢献できるように頑張ります。